2022.06.29
日本抗加齢医学会総会にて吉形玲美医師がメノポーズマネジメントに活かすフェムテックについて発表しました
ハイメディック東京日本橋コース倶楽部ドクターの吉形玲美医師は、2022年6月19日(日)に開催された「第22回日本抗加齢医学会総会」の会長企画シンポジウムにて「メノポーズマネジメントに活かすフェムテック」の講演を行いました。
吉形玲美医師を含む5名の医師・専門家が、「フェムテックと人生100年時代のアンチエイジング」と題したシンポジウムでそれぞれの専門分野について発表を行いました。
【吉形玲美医師発表内容】
・世界のフェムテック業界と海外のフェムテック
2021年の“Femtech Industry Landscape Overview”によると、急拡大している世界のフェムテック業界全体の約4割は、メノポーズマネジメント※1に関連する「メノポーズケア」や、「メンタルヘルス」、「健康長寿」、「ウィメンズウェルネス」などがあげられています。「メノポーズケア」のなかでも特に注目されているフェムテックは、更年期障害、GSM※2、生活習慣病、骨粗鬆症のセルフケアなどに対応する「閉経の遠隔医療」が示されています。
日本より進んでいる海外のフェムテックの中には、パーソナライズされた対応を提案する「オンラインアセスメント」や、「HRT(ホルモン補充療法)専門のオンラインクリニック」、さらには「統合医療(HRTに加え食事・運動・マインドフルネスなどライフスタイルの指導や必要なサプリメントなどを紹介する)のオンラインクリニック」が既に実用化されています。そして、ヘルスケアに対するエビデンスが構築されつつある「プロダクト&ディバイス」も増えてきています。
※1 メノポーズマネジメント:閉経マネジメント
※2 Genitourinary Syndrome of Menopause の略称で、日本語では「閉経関連泌尿生殖器症候群」と訳されます。
・メノポーズマネジメントのためのフェムテック
メノポーズマネジメントにとって重要なポイントの1つに各種検査によるセルフアセスメント(自己評価)があげられます。
なかでも、「エクオール※3検査」や「各種更年期診断検査」、「腸内細菌検査」などの検査から個々の状態・体質・性質を把握し、自身に必要な対策を知ることが重要です。これらの検査は先制医療的※4ともいえ、検査の結果により自身に必要なアクションを知ることができます。
※3 大豆イソフラボンを摂取した時に変換されてできる物質。エクオールは、日本人の3人に1人しか体内で生産できないことが分かっています。
※4 先制医療=個人の特徴からかかりやすい病気に先手を打って適切な対策をとること。
吉形医師の発表スライドより
・GSM対応のフェムテック
-研究発表-
デリケートゾーンケアによるGSM改善効果についての研究
本講演では、吉形医師のグループが2021年に実施したラクトバチルス乳酸菌含有素材※5を使用したデリケートゾーンケア介入によるGSMおよび腟マイクロバイオームの改善効果についての研究成果の一部も発表されました。
-デリケートゾーンケア介入後4週間で、何らかの自覚症状(におい・かゆみ・乾燥・尿漏れ・頻尿など)があった例のうち64%の症例に改善が認められた。介入前に症状なしと回答した例でも23%が症状改善を認めた。
-閉経後に多い過活動膀胱は、その疑いを含めると閉経例全体の約3割にみられ、これらの例はデリケートゾーンケア介入により症状が有意に改善した。
吉形医師の発表スライドより
本研究結果から、ラクトバチルス有素材によるデリケートゾーンケアは幅広い世代の生殖器、泌尿器症状を改善することが分かり、泌尿症状評価においても効果を認め、GSMの改善に寄与すると考えられる。
※5:本研究に使用したラクトバチルス含有商品
エストール® デリケートソフトウォッシュ|エストール® デリケートソフトジェルクリーム|エストール® インナージェル ラクトバチルス乳酸菌配合
吉形医師は以下のように本講演をしめくくりました。
「私見として、メノポーズマネジメントに活かすフェムテックは、➀医学的エビデンスに基づいた商品を活用する「セルフメディケーション」、②自身の状態や体調、体質を知って必要な対策を知るための「セルフチェック」、③正しい情報を得て、医療の必要性についての判断を受ける「遠隔アセスメント」、④どこにいても専門医と繋がれる「遠隔診療」、この4つを組み合わせ、活用していくことが重要だと考えています。
そして、更年期医療、女性予防医療の分野へのフェムテックの参入による医療システムのパラダイムシフトは、幅広い女性のQOL(生活の質)向上に寄与すると確信しています。 」